- 日時 2023年10月30日
- 場所 魚津市
- 対象 医師・医療介護関係者
平成21年2月に魚津市医師会と富山労災病院との連携にて、在宅医療チームとしてメディカルネット蜃気楼(現メディカルケアネット蜃気楼)を医師会の事業として立ち上げました。現在、登録会員の医師は15名ですが、実働医師が3名のみです(新川地域医療連携協議会にもその前から参加しており、二足の草鞋を履いています)。他に3医療機関で個人的に訪問診療を行っておられます。医師以外の会員数は36名で、会員事業所数は45事業所で、勉強会には行政からも参加して頂いています。
在宅医療の現場でのICTツールとして「Net4U」で多職種と情報共有をしています。定期的な活動としては、多職種(歯科、薬剤師、訪問看護、ケアマネ、ヘルパー等)のそれぞれの在宅での役割や実務、レスパイトケア等で在宅に係わってくれている市内の個人病院や特別養護老人ホームの活動、行政の活動、在宅の現場でよく遭遇する病態についての学習と現場での対応も含めたレクチャー等をテーマとして勉強会を重ねてきました。多職種間の垣根を越えて、対等に自由な意見交換が出来る場でした(職種間のバリアフリーを目指して)。しかしながら、コロナ禍に入ってから会員との意見交換も出来ていない状況が続いています。ただ、12月には、メディカルケアネット蜃気楼活動再開の第一歩として、労災病院の医師や看護師も交えて「ケアマネの役割、現在の問題点、今後の活動方針、そして患者さんを中心とした在宅医療に於けるケアマネとの上手な協力のあり方等」をテーマにケアマネによる講演を予定しています。
魚津市に於ける在宅医療の問題点は、何処も同じだと思いますが、1)在宅医不足(開業医も病院医師も在宅医療に対して認識不足)2)訪問看護ステーションのマンパワー不足(但し、魚津市の訪問看護師のスキルは高く評価)3)高齢化社会を迎えるにあたって、行政の危機意識も希薄(地域包括ケアシステム構築への動きがない)4)住民に在宅医療が充分浸透していない(我々の発信力不足)などです。
魚津市は、在宅への関心が薄い事や比較的入所施設が多い事もあって、在宅訪問診療はまだ需要が少ない状況であり、表面上はそれほど逼迫した状況にはありません。しかしながら、その陰でケアマネ、訪問看護師、ヘルパーの皆さんが、目立たないところで限界に近い努力により支えてくれている現実もあり、安心してはいられません。これからの数年で問題点を解決して魚津市の地域医療システム作りを考えて、実践していかなければなりません。行政と医師会の密な連携が絶対に必要です。最近では、富山労災病院が地域に目を向けた診療にも力を入れて下さっており、病診連携をさらに推進して行く事で、これから迎える超高齢化社会に於ける医療に繋がる兆しが見えて来るのではないかと期待しています。また、そうして行かなければなりません。魚津市が一丸となって、地域医療を守っていく所存です。
【原稿執筆:桝﨑 繁喜 先生(メディカルケアネット蜃気楼代表)】