富山県在宅医療支援センター

医療従事者のみなさまへ

研修会・講演会・各種お知らせ 研修会・講演会・各種お知らせ (中新川)

多職種連携活動紹介Vol.8 たてやまつるぎ在宅ネットワーク(中新川郡)

中新川
  • 日時 2023年3月1日
  • 場所 中新川郡
  • 対象 医師・医療介護関係者


 人口の高齢化とともに疾病や障害とともに暮らしていく人の増加、また治らない疾病や疾病の終末期であっても可能な限り住み慣れた地域で、自分らしい暮らしを人生の最期までおくりたいという人も増えてきている。地域の包括的な支援・サービス提供体制(地域包括ケアシステム)の構築を推進するため、在宅医療が今後重要になってくると考え、平成24年、当時中新川郡医師会長であった加藤泰三先生のリーダーシップの元、初代会長を黒田惇先生にお願いし、たてやまつるぎ在宅ネットワークが誕生した。本ネットワークの発足、運営には故中川彦人先生が中心となり先進的な取り組みをされていた新川地域在宅医療療養連携協議会の諸先生方に多くのご指導をいただいた。現在はワイズマンのメルタスに移行しているが、関係者間の情報交換システムや医療材料の共同購入システム、在宅患者さんの主治医・副主治医制などは新川地域在宅医療療養連携協議会で運用されていた制度や仕組みを指導の下、導入させていただいた。新たな仕組みを立ち上げる時の労力は大きく、最初につまずくとなかなかうまく進めれないものだが、新川地域在宅医療療養連携協議会の諸先生方の指導があり、順調に立ち上げることができた。この場をお借りし感謝申し上げたい。
 たてやまつるぎ在宅ネットワークの特徴として在宅医療にかかわる福祉、医療機関のみならず行政にも参加していただいたことがある。関係者が協力し、在宅医療の推進および多職種連携のための専門職向けの研修会の企画、住民向けの講演会などを行ってきた。コロナ禍でその活動は制限されていたが、ようやく集合研修の再開が可能となってきた。研修会のテーマを在宅医療だけでなく、ACPや臨床倫理といった現場で問題となる事柄も対象にしながら今後も企画していく予定である。行政にも参加していただいていることで住民や地域の専門職むけの研修の企画、スケジューリングがスムーズにできている。
 たてやまつるぎ在宅ネットワークには地域の公立病院であるかみいち総合病院も参加している。かみいち総合病院は在宅療養支援病院で365日往診当番が決められていることから、主治医・副主治医制に病院がはいることで夜間、休日や学会などでの不在時の看取りの際など開業医の負担を軽減することが可能となっている。また富山医療圏の基幹病院から患者さんが退院される際、在宅医療の希望がある場合、かかりつけ医がない場合はかみいち総合病院にコールセンターの役割を担ってもらい、在宅主治医の決定をおこなっている。
 歯科との連携については在宅歯科診療だけでなく、骨粗鬆症の治療薬の使用の際問題となる顎骨壊死の予防に、今後は医科歯科連携をたてやまつるぎ在宅ネットワークの枠組みを使用し、広めていくことも検討している。
 情報共有ツール、メルタスのますますの有効利用、一部種々の事情から参加できない関係医機関もあるなどの課題もあるが、今後中新川郡の住民が住み慣れた地域で安心して最期までくらしていくことの一助となれるよう取り組んでいきたい。

【原稿執筆:佐藤 幸浩 先生(中新川郡医師会理事)】